図書館について 活動紹介
推薦図書トーク2024 第12回(6月20日開催)
2024年06月13日
外国語学部 アジア学科 江口 伸吾 先生
『巨龍の胎動 : 毛沢東 vs. 鄧小平』
南山大学ライネルス中央図書館では、NANTO ルームにて「推薦図書トーク(全17回シリーズ)」を開催しています。各学科の先生方から学生の皆さん宛に本を推薦していただき、その本の魅力や背景について直接語っていただく企画です。
第12回は、外国語学部 アジア学科 江口 伸吾 先生に推薦図書をご紹介いただきました。
江口先生の推薦図書は『巨龍の胎動 : 毛沢東 vs. 鄧小平』です。
「巨龍の胎動:毛沢東vs鄧小平」は、講談社「中国の歴史」という全12巻シリーズ中の第11巻です。2000年代初頭に初版が出版され、2020年代になって文庫化されました。中国語に翻訳され、中国でも出版・評価されましたが、政治的な背景からこの第11巻は中国では発行されなかった、という江口先生のご説明からトークの幕が開きました。
本書は主に中華人民共和国を建国し、かつてその最高指導者として君臨した毛沢東と鄧小平という、タイプの異なる二人の大きな政治家を対比させながら中国現代史を紐解く内容となっています。
江口先生は本書の帯の言葉を引用し、毛沢東を「軍事芸術家」の「反逆者」であり、「土着派」のカリスマ性を持つ政治家、鄧小平を「政治芸術家」の「逆境者」であり、「国際派」の実践的な政治家、と紹介しつつ、現在の国家主席である習近平との比較も交え各々の個性を語ってくださいました。
トークでは、毛沢東はかつて北京大学で司書補として働いていた経歴もある、と明かしつつ、江口先生が訪れた北京大学の図書館の様子やキャンパス風景をご紹介いただくシーンもあり、参加者からは「毛沢東が図書館で働いていたことがあるとは」と驚きの感想が漏れました。
最終的に、巨大で複雑な中国という国家を理解していくためには、歴史を通して現在を相対化し、変化していく中国への洞察力を高めていくこと、すなわち、中国やアジア全域の歴史・社会・文化を学んでいくことが欠かせない、とまとめていただき、参加者の学習意欲を掻き立てるようなトークとなりました。
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■今回の推薦図書
著者名 : 天児慧 請求記号: 081K/2418/v.0-2000-11 資料ID : 1222195 |
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次回開催は 6/21 (金) 13:00 ~ 13:30 人文学部 日本文化学科 上田 崇仁先生です。
お楽しみに!