図書館について 活動紹介
推薦図書トーク2024 第15回(6月25日開催)
2024年06月26日
総合政策学部 総合政策学科 佐藤 創 先生
『日本文化私観』
南山大学ライネルス中央図書館では、NANTO ルームにて「推薦図書トーク(全17回シリーズ)」を開催しています。各学科の先生方から学生の皆さん宛に本を推薦していただき、その本の魅力や背景について直接語っていただく企画です。
第15回は、総合政策学部 総合政策学科 佐藤 創 先生に推薦図書をご紹介いただきました。
佐藤先生の推薦図書は、坂口安吾 著『日本文化私観 : 坂口安吾エッセイ選』です。
小説家・評論家・随筆家と称せられる坂口安吾。彼の代表作といえばエッセイです。
『日本文化私観』は、まさに安吾の『墜落論』と並び称される代表作。『日本文化私観』や『墜落論』以外にも安吾のエッセイはどれも既存の慣習や習慣を鮮やかにかつ激烈に批判したものばかりで、そんなエッセイが集められたこの本を、佐藤先生は「普通に持っている常識を鮮やかに批判しているところに惹かれた」と紹介されていました。
先生がこの本を初めて手にされたのは大学の教養の授業でのこと。時代の先入観や社会の支配的な力さえ批判する視点、またその視点までも批判するところに惹かれたというお話にとても興味を引かれました。その文章に触れると自由な気持ちになれるという先生の言葉に、その視点を得た上で、今一度『日本文化私観』を読んでみたいと思いました。
また、総合政策学科の佐藤先生があえてこの本を推薦していただいたのは、複合的な意味合いであることも窺い知ることができました。
「総合政策=リエゾン・パーソン」つまり"異なる価値観や異なる文化が出会うとき、そこに生じる科学反応を見逃さず促進し、新しい道を提示できる人"を育てるのが総合政策学科の理想としているところであり、坂口安吾の表現は多角的に物事を見ることで新しい理解を引き出すことができる、そんな人になってほしいという学科の思いと重なります。
坂口安吾は子供の名前を「綱」と名付けました。綱の役割とは諸分野をつなぐことができる人、まさにリエゾン・パーソンの理想像と言えます。総合政策学科の先生としてこの本を推薦図書として選ばれたことの理解につながりました。
総合政策学科のみなさんに限らず、是非一読してみてはいかがでしょう。これからを生きるヒントがみつかるかもしれません。
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■今回取り上げられた作品
日本文化私観 : 坂口安吾エッセイ選 坂口安吾[著]. -- 講談社. -- (講談社文芸文庫)(現代日本のエッセイ). 081K||2436||v.0-361 |