図書館について 活動紹介
「ブックトークおすすめの一冊 」総合政策学部 太田 和彦 先生
2025年06月11日
第2回:2025年6月10日(火)13:00~13:30
総合政策学部 太田 和彦 先生
おすすめの1冊:『都市の緑は誰のものか』太田和彦・吉永明弘著
"気づかないうちに変わっていく、都市のなかの街路樹や公園。樹々や植栽が都市のなかで果たす多様な役割と市民の権利を、歴史・哲学・文学などの観点から丁寧に掘り起こす一冊。" 環境倫理学がご専門の太田先生ご自身の著書をご紹介いただきました。
まず、タイトルの「都市の緑は誰のものか」の答えとして、その地域の人だけではなく、動植物や未来・過去の人など全て含めた「みんなのもの」という定義からスタートしました。また、なぜ「都市」を対象にしたのかは、全世界の人口の55%が都市部に住んでおり、都市を「故郷」と呼ぶ人が増えているという現状も説明してくださいました。
過去の記憶や思い出、景観とそこを訪れる人との関係といった「関係的価値」について、1本1本の樹木にメイルアドレスを付けて、その木への思い出やお礼などのコメントを書き込んでもらうといったニューヨークでの取り組みの話は、とても興味深く印象的でした。
途中、NANTOルームを飛び出し、先生と参加者で図書館の窓から見える強剪定されてしまった木を確認したり、共著者の吉永先生もトークに加わってのセッションが始まったりと、とても楽しく有意義な時間を共有することができました。
関係的価値、グリーンインフラ、将来世代への責任などのキーワードを軸に、都市の緑のメンテナンスは、私たちの身近で重要な課題であり、自然と人との良い関係が持続可能な都市とは何かを考えるきっかけとなる、ブックトークでした。
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『都市の緑は誰のものか:人文学から再開発を問う』 太田和彦, 吉永明弘編著; 北條勝貴[ほか] 著 (ヘウレーカ 2024年)
請求記号:518K||262
資料ID:1245052
■トーク内で紹介いただいた太田先生の新刊著作
『〈驚き(ワンダー)〉を呼び込む自然体験学習』
※まもなく図書館に入ります!
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