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「ブックトークおすすめの一冊 」理工学部 機械システム工学科 潮 俊光 先生
2025年06月24日
第6回:2025年6月24日(火)13:00~13:30
理工学部 機械システム工学科 潮 俊光 先生
おすすめの1冊:『脳・心・人工知能 : 数理で脳を解き明かす』増補版 甘利俊一著
ニューラルネットワーク理論の世界的権威であり、潮先生ご自身も大変尊敬されている甘利俊一先生の著作をご紹介いただきました。昨年(2024年)のノーベル物理学賞、化学賞はニューラルネットワークを使った人工知能(AI)に関連する研究で、特に物理学賞の研究は甘利俊一先生の1960-70年代の研究と密接に関係しているとのことです。
今回ご紹介いただいた本は2016年に発行され、今年5月に増補版が出版されたばかりです。(図書館に所蔵しています!)2016年版では、脳における情報処理・学習の数理モデルが分かりやすく説明されており、物理学賞を受賞した研究も紹介されています。増補版では、この10年間の急速な理論の発展状況を踏まえ、さらに3章分が加えられています。
初版が出版された「2016年」というは実はキーポイントであり、囲碁AI「AlphaGo」が人間(プロ棋士)に勝った年であり、また、ChatGPTの原点とされる技術が発表された2017年の前年になるそうです。
人工知能が人間を超えるなんてSFの世界の話かと思っていましたが、2045年問題(人工知能が人間の知能を完全に超越する「シンギュラリティ」が発生すること)にも言及されており、興味深く、また少しこわいと感じました。
また、「意識」とは「自分が今何をしようとしているかを自分で知っていること」であるが、「はたしてコンピューター(AI)は「意識」を持っているのか?」という疑問について、ChatGPTに質問した答えもこの本の中に書かれているそうです。気になる方は、ぜひ、『脳・心・人工知能 : 数理で脳を解き明かす』を読んで、答えを探してみて下さい。
最後に、潮先生がこの本のことを、「単なる理科系の本ではなく、人間の生きざまがわかる本」と言われたことがとても印象的で、潮先生の甘利俊一先生とその研究への「愛」が伝わるブックトークでした。
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■おすすめの一冊
『脳・心・人工知能 : 数理で脳を解き明かす』増補版 甘利俊一著 (講談社 2025年)
請求記号:491K||1505
資料ID:1248611
■トーク内で紹介いただいた甘利俊一先生の著作
『神経回路網の数理 : 脳の情報処理様式』 甘利俊一著 (筑摩書房 2024年)
請求記号:081K||2446||v.0-1638
資料ID:1240748
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