推薦図書トーク2024 第2回(5月1日開催)
外国語学部 スペイン・ラテンアメリカ学科 小阪 知弘 先生
『カルデロンの劇芸術 : 聖と俗の諸相』
南山大学ライネルス中央図書館では、NANTO ルームにて「推薦図書トーク(全17回シリーズ)」を開催しています。
各学科の先生方から学生の皆さん宛に本を推薦していただき、 その本の魅力や背景について直接語っていただく企画です。
第2回は、外国語学部 スペイン・ラテンアメリカ学科の 小阪 知弘 先生に推薦図書をご紹介いただきました。

小阪先生の推薦図書は、佐竹 謙一 著『カルデロンの劇芸術 : 聖と俗の諸相』です。
本書の著者 佐竹 謙一氏は本学の名誉教授で、長くスペイン・ラテンアメリカ学科で教鞭をとっていらっしゃいました。その代表作の1冊が本書『カルデロンの劇芸術 : 聖と俗の諸相』です。
現在も親交のある佐竹先生への敬愛と、カルデロンおよびスペインの劇芸術についてもっと知ってほしいという啓蒙的意味合いを込めて熱く語ってくださいました。
本書では、スペイン バロック時代を代表する劇作家であるカルデロンの劇芸術を様々な観点から分析しています。その分析には、時代的背景・キリスト教的視点(カルデロンは劇作家であると同時にカトリックの僧侶でした)・絵画的技法など、佐竹先生の豊富な知識と教養が反映されていることを知ることができました。

中でも、カルデロンの作品である『人生は夢』には、「夢の中の夢」といった入れ子構造が用いられ、中国文学の「胡蝶の夢」に通じるテーマが扱われていること、また、この『人生は夢』はボルヘスの『円環の廃墟』に影響を与え、さらにボルヘスの『円環の廃墟』のインスピレーションからクリストファー・ノーラン監督のハリウッド映画『インセプション』が制作されたという影響が連鎖するお話には、全員が大変興味深く聞き入っていました。
みなさんもぜひ手に取ってみてください。
今回取り上げられた作品
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『カルデロンの劇芸術 : 聖と俗の諸相』 佐竹 謙一 著 (国書刊行会 2019年) 請求記号:962K||1239 資料ID :1238489 |
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『スペイン文学案内』 佐竹 謙一 著(岩波書店 2013年)-- 岩波文庫 . 別冊 (35) ; 023-1, 23 請求記号:081K||246-A||v.23 資料ID :1140673 |
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『スペイン黄金世紀の大衆演劇 : ロペ・デ・ベーガ, ティルソ・デ・モリーナ, カルデロン』(南山大学学術叢書) |
次回開催は 5/8 (水) 12:50 ~ 13:20 経営学部 経営学科の野口 晃弘 先生です。
お楽しみに!