トークイベント「本のおしごと」【その1】青羽古書店 羽田孝之氏
洋古書が開く世界:洋古書店のしごとから
本にかかわる様々な仕事と人を紹介し、本の魅力を再発見してもらう「本のおしごとシリーズ」。第1回は、青羽古書店の羽田孝之さんに、洋古書店の仕事についてお話ししていただきました。
羽田さんは16世紀から20世紀前半に製作された洋書や地図、手稿などを専門に扱う古書店を京都でおひとりで経営されています。年に数回欧米各地を訪ねて、日本とかかわりがある資料を中心に、調査・情報収集をしながら本を買い付け、全国各地の大学や博物館などを訪問して販売しています。
青羽古書店には実店舗はなく、羽田さんはお客様の関心やニーズを聞き、要望に合わせて資料を探して買い付け、入手した資料の解説文を作成するといったお仕事をされています。中には、「日本におけるカツレツの歴史を調べたい」、「魔法使いの書斎を再現したい」などといったユニークな要望もあるそうです。
講座では、羽田さんが買い付けで訪れた世界各地のブックフェアや古書店の様子をたくさんの写真とともに紹介してくださいました。古書店やお店の書棚は、そのまま街の歴史や文化をあらわしていることもあるそうです。ネットでなんでも買える時代ですが、直接現地に足を運び、街の古書店や博物館を訪れて出会った人々と話をすれば、「本の背景までも見えてくる」と話されていたのがとても印象的でした。
また、販売資料の解説を書くことが、古書店の大切な仕事のひとつで、カタログの内容で古書店の質(格)が決まるそうです。羽田さんが親しくされているオランダの古書店主の書斎兼仕事場は、売り物ではなく、ほとんどが調べもの用の資料で埋まっているそうです。羽田さんご自身も、解説を書くために英語以外の言語の解説書を何冊も読んだりするとのことです。
学生、先生方、本好きの職員、また社会人講座に参加の方なども集まってくださり、貴重な古書を羽田さんの解説付きで実際に手に取ってもらうなど、とても充実したイベントになりました。また1冊の古書にまつわる話をじっくりきいてみたいといった意見もいただきました。
個人的には、羽田さんの「自己紹介」で、元々本が好き、外国語が好き、というわけではなく、現在の古書店店主になるまでの意外な(?)経歴のお話がとても興味深かったです。
次回のお知らせ
第2回は、(株)大入の井田雄貴氏に「経師(きょうじ)」の仕事について、お話ししていただきます。
(株)大入では、文化財を後世に残していくために、京都の地で奈良時代より続く「経師」の伝統を受け継いで、経巻や和本の仕立、レプリカの作成、史料及び美術品の修復、保存容器の製作など、多岐にわたる仕事をしています。そこには、最新の材料を使って破れた箇所をつなぎ、穴をふさぐだけではない、過去と今をつなぐための“なにか”があるようです。
『今にいきる 経師(きょうじ)のしごと』
◆ 日時:7月10日(金) 12:45~13:30
◆ 場所:ライネルス中央図書館1F NANTOルーム
申込不要のカジュアルな企画です。お気軽にお立ち寄りください!