イベント情報

トークイベント「本のおしごと」【その2】(株)大入 井田雄貴氏

今にいきる経師(きょうじ)のしごと

 本にかかわる様々な仕事と人を紹介し、本の魅力を再発見してもらう「本のおしごとシリーズ」。第2回は、(株)大入の井田雄貴さんに、経師(きょうじ)の仕事についてお話ししていただきました。

 井田さんの働く(株)大入は、奈良時代より続く「経師」の伝統を受け継いで、京都で史料の修復・装幀・保存・複製など多岐にわたる仕事をしています。

 講座は「『経師』とは?」という話からはじまりました。奈良時代は仏教が国家事業として推進され始めた時代で、写経をする人を経師と呼び、その紙を継いで巻物に仕立てる人を装潢(そうこう)と呼んでいました。平安時代になると個人で写経する人が増えたため、経師は徐々に装潢の仕事をするようになっていきました。

 時代が進むと装幀や印刷も兼業するようになり、現代ではデジタルアーカイブやレプリカの作製など仕事はさらに多岐にわたっていきます。経師の仕事は時代と共に変化・発展してきましたが、「大切な史料の『保存』」をキーワードに、高い伝統技術と現代科学を融合した「令和の経師」としてさらなる発展を追求しているそうです。

 具体的に修復や保存を依頼された時の流れについても教えてくださいました。まずは現状の確認、依頼主の意図や要望を汲み修復の方針を検討して提案、実際に修復、報告書を作成して完成というのが基本の流れだそうです。史料としての値段にかかわらず、文化財も個人の史料でもやることは同じというお話しを聞いて、丁寧に誠実におしごとをしていることが伝わりました。

 さらに修復や保存・複製の手順を、たくさんの写真と共に紹介してくださいました。修復前、修復後の写真がスクリーンに映ると、思わず「おぉ…」という声が参加者から上がっていました。

 最後は、学生や職員から「一番大変だった依頼は?」「文字の欠けてしまった部分はどのように修復するのか?」など多くの質問が飛び交いました。ちなみに回答は「修繕をした寺院に経本保管用のタンスを搬入したこと。どれにも傷はつけられないし重たいし、寸法がギリギリで本当に大変だった!!」「文字のない部分に書き加えることはしない。作者が修復した職人に変わってしまうので…」とのことで、時折笑いを交えつつも多くの感心と知識が得られ、とても充実したイベントとなりました。

 イベント終了後も、実際に図書館から修復を依頼した資料を手に取ってご覧いただく方や、報告書をじっくり読む方、井田さんへの追加質問をする方が多くいらっしゃいました。

次回以降について

第3回以降は未定ですが、鋭意検討中です。
開催が決定し次第Webでお知らせします。ぜひお楽しみに!!

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