学生生活(学生課)

課外活動 活動報告

南山大学石器研究グループ(活動報告)

2022.02.21

名称 岐阜県下呂市湯ヶ峰で発見された石器時代遺跡群の文化資源的活用
グループ名 南山大学石器研究グループ

内容

南山大学石器研究グループは2020年度から岐阜県下呂市湯ヶ峰を学術調査し、これまで知られていなかった石器時代遺跡を多数発見してきた。湯ヶ峰は、先史時代に石器の材料として広く流通した岩石、通称「下呂石」を産出する唯一の山で、考古学的に重要なフィールドでもある。一方で湯ヶ峰は、下呂市の観光の中心を担っている下呂温泉と、火山地質の点で深い関わりを持つ。しかし観光面において、湯ヶ峰やそこで実施された人類活動が取り上げられることはほとんどなかった。

 石器石材原産地である湯ヶ峰と、そこを中心に展開された石器時代遺跡は、学術的貢献のみならず、新たな観光資源として下呂市振興に活用できる。すなわち、下呂石を利用した石器時代人の遺跡や文化の情報を発信することで、知的欲求を満たす観光の実現、下呂温泉街を取り巻く経済活動の活性化、自然・文化的景観の保護意識の向上が見込めると考えた。

 以上の目標を達成するために、私たちは湯ヶ峰の学術調査とは別に、この成果を地域住民に還元し、下呂市振興に役立てるプロジェクトを企画・実行した。

様子

所感

湯ヶ峰ハイキングイベントの実施

2021年11月、地元市民の中から希望者を募り、南山大学石器研究グループのメンバーと共に、実際に湯ヶ峰を訪れた。参加希望者は3名で、その中には有識者もいらっしゃった。我々は、何度か湯ヶ峰に足を運び、石器研究グループが伝えたいことを余すことなく伝えられるように、自分たちでハイキングルートを決めた。山の中にいられたのは2時間半という限られた時間だったが、その中で、私たちが発見した新規の遺跡や、他の研究者が発見した遺跡をめぐり、遺跡分布調査を体験していただいた。参加者には、下呂石原産地として石器時代から利用されてきた湯ヶ峰の現状を知っていただけた。今後、湯ヶ峰と石器時代遺跡を下呂市の観光資源として利用していただくためも、市民の湯ヶ峰に対する探究心や好奇心を、今回のイベントで直接刺激することができたのは、大変意義があった。

人類学フェスティバルでの発表   

2022年1月、南山大学人類学研究所主催の人類学フェスティバルにおいて、ポスター発表をした。発表内容は、南山チャレンジプロジェクトにおける私たちの活動の目的、これまでの活動実績とその成果である。学内の学生に向けて発表をすることで、同じ学生が課外活動をしている事実の周知、湯ヶ峰や下呂石、観光や地域振興に興味を持っている学生への刺激になることが期待できる。今年度は学内の学生のみならず、近隣の学生も多く参加しており、より活動の宣伝になった。

遺跡解説冊子の配布    

2022年2月、これまでの南山大学石器研究グループの調査の成果をまとめて、「湯ヶ峰における石器時代遺跡」というタイトルで冊子を製作し、下呂市街で配布した。全メンバーで分担して記事を執筆しており、これまでの活動の集大成とも言える冊子が出来上がった。南山大学石器研究グループの紹介に始まり、湯ヶ峰周辺の遺跡分布地図、各遺跡の解説、既存のハイキングルートを利用した遺跡散策ルートの提案などを掲載した。これらを読んだ市民に、「湯ヶ峰と石器時代遺跡」という新しい観光資源を認識していただくことができた。

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