課外活動 活動報告
南山大学石器研究グループ(活動報告)
2023.02.16
名称 | 石器の材料「下呂石」の普及による、岐阜県下呂温のジオツーリズム的価値の創出 |
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グループ名 | 南山大学石器研究グループ |
開催日 | 2022年4月 ~(各実施日) |
場所 | 南山大学 |
内容
南山大学石器研究グループは2020年度から岐阜県下呂市をフィールドに、遺跡探しや出土品の調査等、考古学に取り組んできました。
岐阜県下呂市の下呂温泉街近郊には、ここでのみ産出する優良な石器石材「下呂石」と、それを用いた先史時代遺跡が多数存在します。
しかし、新型コロナウイルス感染症の感染拡大で下呂市は観光業の面で、観光客の減少やそれに伴う経済的打撃を受けました。
私たちが取り組む遺跡調査は、これまで未知だった遺跡の存在を明らかにし、新たに学術的な価値を生み出すことができます。
考古学の対象となるこれらの遺跡は、地域にとっては文化資本であり、その活用の方法次第では地域振興の要、観光資源となり得ます。また「下呂石」は流紋岩の一種であり、火山由来という点で温泉と深い繋がりがあります。
これまで私たち石器研究グループに活動の場を提供してくれた下呂市に、人を引きつける魅力を持つ先史時代遺跡と「下呂石」についての学習内容を還元し、下呂温泉街のさらなる観光業の広がりに寄与するべく、以下の取り組みを企画・実施しました。
様子
所感
下呂石設置キャンペーン:下呂石製風鈴づくり
遺跡や下呂石といった要素を下呂市の地域振興に取り入れてもらうためには、まずは地域に根付かせることが大事です。そこで、2020年度から継続する活動の一環で、知り合った下呂温泉観光協会の関係者の方にご協力をいただきながら、下呂市の観光の目玉である下呂温泉街の各所で、下呂石の実物を配置するキャンペーンを試みました。
下呂石製の風鈴は下呂石が持つ魅力を身近に感じることができる現代的な製品というだけでなく、温泉街の雰囲気にあった製品でもあると考え、設置キャンペーンの初段階として取り組みました。
11月26日に南山大学のグリーンエリアで製作を行いました。機械で岩石を加工する未経験の作業であり、形を整えるだけでは風鈴の綺麗な音は再現することができなかったため、試行錯誤をしつつ、外見(そとみ)や舌(ぜつ)の厚さと長さなどを調節したりすることで、涼しげな音が鳴る風鈴を製作することができました。
下呂石設置キャンペーン:石器づくり
キャンペーンの当初段階では、風鈴など現代風の製品に加工した下呂石を温泉街に配置するという事を目的としていていましたが、11月ごろに行った下呂温泉観光協会の理事との方との会議において、先史時代から石器の材料とされているならば、現代風の製品よりも、石器の形態にした方が下呂石の魅力が表現できるだろうということで、目的を「石器を製作して、温泉街に設置する」というものに転換しました。
石器の製作は1月21に南山大学のグリーンエリアで行いました。形態として人の目を惹きやすく、下呂市に所在する遺跡からも多く出土する石鏃(矢じり)や石匙(つまみ付きナイフ)を目的として、下呂石を材料に石器を製作しました。石鏃や石匙の他にも搔器(皮なめし具)なども製作し、合計で11点の石器が完成しました。
これらは今後、下呂温泉街の店頭や旅館のエントランス等、各所に下呂石の解説ペーパーとともに設置される予定です。
人類学フェスティバルでのコーナー設営
2023年1月22日に南山大学で開催された人類学研究所主催の人類学フェスティバルにて、当団体のブースを設けました。下呂市の住民や観光客に直接訴えかける活動ではないですが、南山大学や中京大学、愛知淑徳大学、名古屋大学からも参加者がいたため、より広い情報発信のために参加しました。
「多様な石材を使用した石器づくり実演会」というテーマで、石器製作の実演・体験補助と、石器時代に使われた石材や実際の石器を展示しました。石器製作の実演では、石を叩く音、石片が剝がれる様子、考えながら岩石を加工する姿は珍しかったようで、多くの人が足を止めて関心を寄せていただいました。石を割ってみたいと申し出もあり、石割りを体験した人もいました。石材と石器の展示では、巨大でカラフルな岩石や、入念に成型された石器が目を引きました。
普段の生活では見慣れない岩石や石器を通して、参加者にこれらの魅力を存分に伝えることができました。
南山チャレンジプロジェクト