カトリック文庫 講座開催報告
カトリック文庫講座「日本近代史のなかのカトリック教会:設立100周年を迎えた名古屋教区を中心にして」
2022年12月23日
去る12月4日(日)、「日本近代史のなかのカトリック教会:設立100周年を迎えた名古屋教区を中心にして」と題して、第7回となるカトリック文庫講座を開催しました。
2022年はカトリック名古屋教区設立100周年の記念すべき年に当たることから、近代日本のキリスト教史研究を専攻されている、本学人文学部教授の三好千春氏を講師としてお迎えしました。カトリック援助修道会会員でもある三好氏の、微に入り細を穿つ話に参加者は皆引き込まれ、時間の経過を忘れるほどでした。
名古屋教区における宣教活動の前段としてのキリシタン時代から、パリ外国宣教会による時代を経て、ローマ教皇庁の方針転換により本学の設立母体である神言修道会が宣教に従事することとなった叙事は、大変聴きごたえがありました。悲しく痛ましい禁教にまつわる出来事に始まり、のちにパリ外国宣教会から神言修道会へとバトンが渡される歴史の大きなうねりの中で、第一バチカン公会議がどう影響し、宣教師たちはどのような苦労をし、どう工夫してどう乗り越えたのか、等々、その経緯と理由が手に取るように理解できました。そして、神言修道会や南山学園の先達の尽力にも思いを馳せ、それが今ある幸せにつながることを実感するとともに、次の100年への勇気をもらうことができました。
あわせて、コーディネーターの太田達也図書館長が時折投げ掛ける講師への言葉が、参加者それぞれの記憶や思慮を呼び覚ますことになりました。ある参加者は個人的な経験に基づいて心情を述べ、ある参加者は学術的な観点から質疑するなど、その幅広く重層的な交流が場をさらに盛り上げる結果になったのです。
また、カトリック文庫では、主に明治・大正・昭和初期のキリスト教史の研究に資する資料を収集しています。名古屋教区成立前から草創期にかけては、このカトリック文庫の重点的資料収集期間とも重なりますので、会場に関連資料を展示しました。このことで、当文庫の意義と活動成果を提示する好機にもなったと考えています。