カトリック文庫 講座開催報告
カトリック文庫講座「遠藤周作の"沈黙"の声を聴くー生誕100年、現代の私たちに語りかけることー」
2023年12月21日
去る12⽉9⽇(⼟)、2023年が遠藤周作生誕100年にあたることを記念して、標題をテーマに第8回となるカトリック文庫講座を開催しました。
講師には、遠藤周作研究の第一人者であるノートルダム清心女子大学教授の山根道公氏をお迎えしました。山根氏は、ご遺族から譲り受けられたという遠藤のネクタイを着用してお越しくださり、そのエピソードを笑顔で冒頭に紹介された参加者は、遠藤の思いそのままを語られる山根氏ならではのお話に、あっという間に引き込まれることとなりました。
とりわけ、映画化された『沈黙』については原題が「日向の匂い」であったことに触れつつ、集大成としての『深い河』については私たちにとって身近な木曽川に照らして、代表的な作品のいくつかを読み解いていただきました。
その中で、遠藤は日常を「生活の次元」と「人生の次元」とに分けて捉えていたことを紹介されました。前者は現世的で眼前のことに左右されるものですが、後者は時間と空間を超越して永遠の命や命の源である神にも通じるものであるとのことでした。また前者では日常的な苦難を重く受け止めがちですが、後者では数々の失敗・挫折や病さえも活かされていると理解することで、遠藤は前向きに生き抜いたといいます。この話題で参加者は、紆余曲折ある長い人生をよりよく生きるヒントを得たような心持ちとなりました。
その中で、遠藤は日常を「生活の次元」と「人生の次元」とに分けて捉えていたことを紹介されました。前者は現世的で眼前のことに左右されるものですが、後者は時間と空間を超越して永遠の命や命の源である神にも通じるものであるとのことでした。また前者では日常的な苦難を重く受け止めがちですが、後者では数々の失敗・挫折や病さえも活かされていると理解することで、遠藤は前向きに生き抜いたといいます。この話題で参加者は、紆余曲折ある長い人生をよりよく生きるヒントを得たような心持ちとなりました。
今回は、講座にあわせて、図書館所蔵の遠藤周作関連資料および山根氏の著作を展示しました。展示コーナーでは、講座後の山根氏を中心に参加者の輪ができ、山根氏による資料解説や懇談を時間を忘れて楽しみました。総じて、カトリック文庫設置30周年記念の忘れられない催しとなりました。