カトリック文庫 カトリック文庫室
カトリック文庫室に入ると、アントニン・レーモンドによるデザインの、側面をいくつも円形にくりぬいたコンクリート打ちっぱなしの階段が中央に位置しているのが目に留まります。書架の大半は他の場所で使用していたものを再利用する一方で、以前の文庫室にあった調度品の一部を残し、それにあわせて壁面の木材部分が焦げ茶色に仕上げられています。この木調とクリーム色の金属書架との対比・融合は、レーモンド建築の赤茶色とコンクリート色とのそれを彷彿とさせ、人間にとっても資料にとってもたいへん居心地のよい空間となっています。
当文庫室は、カトリック文庫を開設した1993年から遡ること数年前、それまで埃まみれであった空間を清掃し、片隅に置かれた要不要の判別がつかないモノをかたづけるところからはじまりました。それらと入れ替えに、学内から使われなくなった書架と調度品をかき集め、ひととおりの体裁を整えました。古めかしいとの声もありましたが、見方によっては温かみと味わいのある、少なくとも私たちにとっては大切な部屋でした。
2023年4月、ライネルス中央図書館へのリニューアルの機会に、よりよい環境の新しい部屋へ移ることになりました。場所は、元の文庫室と同じ地下1階です。現在は貴重書庫と文庫室がある空間に、建設当初は礼拝堂が存在したことはあまり知られていないようです。旧礼拝堂が60年の月日を経てカトリック文庫室に生まれ変わったことに喜びを感じています。
私たちは、この文庫室と資料を、まもり、はぐくんでゆきます。
アントニン・レーモンドによるデザイン
(2023年8月現在)
以前の文庫室にあった調度品
(2023年8月現在)
(2023年8月現在)